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銀塩写真とは?現像の仕組みとインクジェットとの違いを解説

「銀塩写真ってなに?インクジェットとの違いは?」
銀塩写真や銀塩プリントといった言葉は聞いたことがあるけれど、実際はよく分からない……という方は多くいらっしゃいます。
今回は銀塩写真の概要と現像の仕組み、メリット・デメリットを解説します。
銀塩写真とインクジェットの違いについてもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
銀塩写真とは
銀塩写真(ぎんえんしゃしん)とは、専用の用紙に光を当てることで化学反応させて、画像を浮き上がらせたものです。画像パターン(潜像)を浮き上がらせるために「ハロゲン化銀」の性質を用いることから、「銀塩」と呼ばれるようになりました。
銀塩を使用した写真の現像方法は、約180年前から存在したと言われています。日本では、1970年代から徐々に需要を伸ばしていましたが、1990年代後半の全盛期を終えると利用者が一気に下降していきます。2000年代からはデジタル化が進み、銀塩以外の方法で現像する人が増えました。
デジタルに比べて非常に手間のかかる銀塩写真ですが、その分、他の印刷方法よりも高いクオリティの写真が完成します。以前より利用者は減ったものの、写真にこだわりのある人には人気の高い印刷の方法です。
銀塩写真の仕組
銀塩写真とは、そもそも「フィルム」で撮影された画像を浮き上がらせる手法です。近年はフィルムを使わないことが多くなっているので、その場合は「デジタルデータを銀塩プリントする」ということになります。
いずれの場合も、「像を浮き上がらせる」という点が銀塩写真の特徴です。銀塩プリントをするためには「印画紙」と呼ばれる専用紙を用います。この用紙に光を当て、現像液に浸すと反応した部分が黒くなります。このような工程を行うことで、用紙に撮影したものが現像されるのです。
銀塩写真とインクジェットとの違い
銀塩プリントとインクジェット印刷の違いを、以下の表にまとめました。
種類 | 印刷方法 | 特徴 | 色合い |
---|---|---|---|
銀塩プリント | 専用紙に光を当てて 像を浮き上がらせる |
水に強い (洗える) |
発色がよく色の再現性が高い |
インクジェット | 用紙にインクを吹き付ける | 水に濡れるとインクがにじむ | 4~8色のインクを組み合わせて 発色させている |
一般家庭にあるプリンターで写真を印刷する場合は、すべてインクジェット方式です。銀塩写真で印刷したい場合は、写真店に依頼しましょう。
銀塩写真の大きな特徴は、水に強いことです。過去にあった大きな災害時に、家屋が浸水したことで、水に濡れてしまった写真が多くありました。台風や床上浸水などの被害にあってしまった写真でも、銀塩プリントであればある程度復元できた記録があります。(参照:被害を受けた写真・アルバムに関する対処法/富士フイルム株式会社)
一方インクジェットは非常に水に弱いので、少しの水滴でも印面がにじんでしまうのが特徴です。しかし近年はインクジェット方式の機械も進化しているので、耐水性の高い製品も増えてきています。
銀塩写真とインクジェットはよく比較されますが、どちらにもメリット・デメリットがあります。シーンや用途、好みにあわせて選んでみるとよいでしょう。
銀塩写真のメリット
銀塩写真のメリットは主に以下の3点です。
銀塩写真のメリット
- グラデーションがなめらか
- 印画紙に厚みがあり、丈夫
- 耐水性・耐光性が高い
それぞれを詳しく解説します。
グラデーションがなめらか
銀塩写真に使用する印画紙は、用紙全体が光に反応して色を発色させます。インクジェットの用紙に比べて細かい粒子になっていて、その数は億単位です。現像液(乳剤)につけることで、色がきれいなグラデーションとして浮き上がり、なめらかな印面となります。
近年はインクジェットの技法も大きく進化していますが、深みのある色の仕上がりを求めるプロの写真家は銀塩写真を選ぶ人がほとんどです。特にサイズを大きく引き伸ばした写真の場合は、違いが分かりやすくなるでしょう。
印画紙に厚みがあり丈夫
印画紙は厚みもしっかりしているので丈夫です。銀塩写真の印画紙にはいくつかの種類があるので、用途に応じて使い分けることもできます。
具体的には以下のようなラインナップの印画紙が、よく利用されています。
銀塩写真の印画紙の種類
- グロッシー(光沢)
- ラスター(微粒面半光沢)
- シルク(絹目半光沢)
- ディープマット(無光沢)
- クリスタル(超光沢)
これらは、富士フイルム株式会社の印刷機器「フロンティア」の専用印画紙として、多くの写真館で使われている商品です。発色や写真の丈夫さにこだわり、開発された高品質な印画紙です。
ネットプリントや写真館で現像を頼むときには、どのような用紙を使用しているのか確認しておくとよいでしょう。
耐水性・耐候性が高い
銀塩写真のメリットは耐水性と耐光性の高さで、水分(現像液)につけても破れない丈夫な印画紙を用いています。またインクジェットとは異なり、水に濡れても印面がにじむことは少ないです。
写真の印面は、長く紫外線に当たると薄くなってしまうことがあります。しかし、銀塩写真は耐光性も高くなっていて、色あせしにくいのも特徴です。
写真の種類と寿命の目安は以下のとおりです。
写真の種類と寿命の目安
- モノクロ写真:約50年
- インクジェット印刷:約40~50年
- 銀塩写真:約80~100年
銀塩写真は「100年長持ちする写真」と言われるほど、耐久性の高い現像方法です。
銀塩写真のデメリット
銀塩写真のデメリットは主に以下の2点です。
銀塩写真のデメリット
- 紙が厚い分、フォトブックが厚くなりやすい
- 指紋がつきやすい
それぞれを詳しく解説します。
紙が厚い分、フォトブックが厚くなりやすい
銀塩写真に使う印画紙は、厚みがあり丈夫です。その反面、フォトブックとして仕上げたときに、本体に厚みが出てしまうことがあります。
フォトブックを作りたいと考える多くの人は、「従来のアルバムよりコンパクトにまとめたい」と思っているでしょう。スタイリッシュな冊子を作りたい人にとって、厚みが出てしまうことはデメリットのひとつと言えます。
指紋がつきやすい
銀塩写真を扱う際に注意しなくてはいけないのが、指紋による汚れです。銀塩写真の特性上、どうしても表面に指紋がつきやすくなっています。
しかし近年の銀塩写真の印画紙には、光沢のないマットや、セミマットなども増えてきたので、こうした種類を選択してみるのもよいでしょう。マット加工の写真であれば、指紋も目立ちにくくなります。
銀塩写真はどんな人におすすめ?
銀塩写真は、写真の色味にこだわりたい人や、できるだけ長持ちさせたいと考えている方におすすめの現像方法です。
一眼レフで撮影したお気に入りの写真や、結婚式や記念日などの画像は、銀塩写真で印刷しておくとよいでしょう。銀塩プリントを自宅で行うことは難しいので、現像したいときは専門の写真店に依頼してください。
印刷機器や用紙などで写真の風合いが変わるので、お気に入りの写真家さんを見つけておくことが重要です。
写真プリントの種類
本記事では銀塩写真の仕組みやメリットデメリットについてご紹介しましたが、銀塩写真以外にどのような写真プリントがあるのでしょうか?
別記事の「写真プリントの種類について解説」にて詳しくご紹介しております。ぜひご覧ください。
銀塩写真は写真屋さんに頼もう
きれいな写真を長期的に残したい人は、写真屋さんやネットプリントで、銀塩写真に現像しておきましょう。
近年は銀塩写真で作られたフォトブックが高い人気を集めています。高画質な写真を手軽にたのしめるフォトブックは、アルバムの形として非常におすすめです。写真整理にお悩みの方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
フォトブックの作成ならフジフォトにお任せください。
